涸沢カール紅葉

もう5,6年か、あるいは10年も前か、サンゴ礁や山歩きに子供達を連れて行けたこともあって「あとは涸沢の紅葉を見れば心残りは無い」と思った。世界にも絶景はあるがキリが無い。とりあえず涸沢だけ見られれば満足だと。そのころは長崎に住んでいたので、仕事の関係で行けるのは9月末、京都まで夜行バス、そこから上高地までバス・・・と、いつ実現させられるかも分からないまま、とりあえず移動手段を調べたりした。富山に来て3年目(毎回書いてるな)、ようやく涸沢の紅葉を見ることが出来た。去年も息子と挑戦したが、秋の寒さ対策に甘い部分が多く、あと上高地からのアプローチの長さに辟易して、横尾で引き返すという残念な結果だったので、リベンジを果たした感じ。

↓ちょうど撮影していた。近辺に居た人が映ってるが、自分は映っていなかった・・・。ドローン飛ばしてたのにぜんぜん使ってないな・・・。

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金曜に有休を取り、木曜の夜7時に富山市の自宅を出発し、ガストで夕食を食べて9時すぎに平湯温泉に着く。平湯民俗館の足湯に入ろうとし、門前の駐車場に車を停め敷地に入り探すが立ち寄り湯やトイレしか見当たらない。あきらめて駐車場まで戻ると、車の横にひっそりと足湯があった(笑)!温泉に入ることも考えたが、時間も掛かるし足だけサッパリすれば快適。

10時ごろにあかんだな駐車場に車を入れる。同じ区画には10台くらいの先客。トイレに行ったり、歯を磨いたりして寝る準備。今回の車中泊(フリードスパイク)には三つ折りマニフレックスと枕と羽毛布団を持参。始発のバスは4:50と確認して4時15分に目覚ましをセットして就寝(始発4:50は夏の時刻で、5:20は秋の休日の始発、秋の平日は6:20が始発だった!)。

翌朝は4時15分に起き、ぼんやりしたのちトイレに行って帰ったらもう4時半過ぎで、次の便(まだ始発は4:50だと思い込んでいるので、次の便は5:20だと考えていた)でいいやとのんびり朝食を食べる。トイレに行ったとき、すでに並んでいる人たちがいたけど、4:50にバスが来た気配は無く、その後5:10ごろにバス乗り場に行っても切符売り場は開いていなかったので、その人たちも始発時刻を間違えていたのではないだろうか。

切符売り場は5:20に開き、切符を買った人から順にバスの乗車行列に並んでいく。それまで待っていた「列」と思っていた人の並びは、切符売り場に入る順でも無く、ただ待っていただけなのか、といろいろ不思議に感じる早朝5時(まだ暗い)のバス停だ。切符売り場を開けた人が連絡したのか、6時には臨時バスが来てくれる。

6:45上高地バスターミナル発

9:45ごろ横尾

12:45ごろ涸沢ヒュッテ着

1時間ごとに休憩入れながらコースタイムの歩行時間で涸沢に到着。本谷橋から上では雪がちらつくことも。上高地周辺の山も雪化粧だったが、涸沢カールを囲む穂高たちも想像以上に下まで白い。テン場も雪がうっすら積もってるが、テントを張るスペースは雪が無い。実は寒さが苦手なワタシ。早々にニット帽、ネックウォーマー、ダウン(モンベルアルパインダウンジャケット)、オーバーパンツ(モンベル・エクセロフトサーマラップ)、さらにレインコートまで着て、さすがに寒くない。

肝心の紅葉はというと、うーん、ナナカマド、茶色い?周りからは「絶景」「雪と紅葉で最高」「泊まらず帰るなんてできない」という声も聞こえれば、「想像とちょっと違う」という意見も。ネット上の写真はさすがに盛りすぎのもあれば、きれいなナナカマド(アイドルナナカマドと心の中で呼んでいた)のアップでごまかしているのもあるとは思っていたが、今年の猛暑の影響なのか、毎年こんなものなのか、どうなんだろう。ヘリがスゴイ頻度で飛んでくる(到着してから夕方まで5回くらい?)。新聞社のドローンも飛ぶ(羨ましくもあり、うるさくもある)。

(→茶色、と思っていたナナカマドだが、帰ってきて写真を見ると結構鮮やか。カメラが盛っているせいもあるかもしれないが、自分のメガネが低温+日差しで色が出るレンズなので、もしかして他の人より黒っぽい紅葉を見ていたのかも知れない・・・。)

ついつい売店に並んでしまい、「涸あげ」とカップラーメンを買ってしまう。3時頃にカップラーメンを食べ、ちょっと寝る。6時頃からは夕食としてピラフ。7時にトイレと歯磨きして寝る準備。やはりあまり寒くないぞ?テントに帰ろうとして、へドラだけでは自分のテントが見つからず、しばらく迷う。特徴的なテントや岩のおかげでなんとか帰り着く(他にも迷子の人はいた)。

夜、寒さのせいか風の音でか何度も目が覚める。12時頃、2時頃、4時頃など。寝袋はモンベルのFP800#2。靴下、オーバーパンツ、ダウンは着たまま。頭はネックウォーマー。途中で手袋もして、カイロも1つ握る。どこが寒いかというと、足先か指先だが、むしろ風の音かも知れない。一晩中吹き続けて、テントのフライをばたつかせる。耳栓も持ってきていたが、使わなかったのが良くなかったか。「涸沢はトイレに行列」と聞いていたので暗いうちに一度トイレに行く。スキー用のグローブを持って行ったのは正解だった。

日の出が5:50なので、5:30ごろからうろつく。上空は晴れ、東の空が赤くなり、こりゃモルゲンロートまで見られるぞと期待したが、東の空の雲が光を遮り、あと少しの所で赤くならず。もう一泊するか、今日帰るか、贅沢な悩みを開始する。帰る場合、人混みで順調に進めなくても、涸沢を10時に出れば上高地発あかんだな行き最終バスには余裕。9時に撤収を開始すれば良い。それまで、テン場を少し降ってアイドルナナカマドを探しに行ったり、涸沢小屋から前穂を眺めたりして、やはり帰ることに決める。一日涸沢をぶらついたり、寒くて長い夜をテントで過ごすのが、ちょっと気が進まないから。

9時から撤収、10時に出発と考えていたが、なんだかんだで(トイレなど)出発は遅れた。

10:30涸沢発

13:30徳沢着、14:00発。

15:50上高地

すれちがい待ちで遅れるかと考えていたが、順調に帰れたことになる。徳沢園でピザを食べようと思いながら歩いてきたが、1700円と見てさすがに食べる気にならず、夏に続きコーヒーソフトで済ます。アイスコーヒーなので寒かった・・・。

実は今回、行きの歩きから左肩が痛く、2日目は左股関節、足の親指内側および親指付け根の水ぶくれで歩くのも辛い始末。行く前から右膝は心配していたが、それ以外の場所がむしろ痛く、それはこの先の不安要素だ。それらをどう防いでいくか、あるいは登山を卒業するか、考えさせられる。

(→水ぶくれは摩擦と湿気による皮膚の軟化でできるらしい。今は綿の5本指靴下の上に登山用ウール靴下をはいている。いい加減20年前のウール靴下も買い換えて、5本指(指の間が湿るのを防ぎたい)も化繊の吸湿速乾性のものに換えよう。)

今回の持ち物は写真の通り。テーピング類をタッパに入れているのは、タッパを枕にするから。

今回の試みが、生鮮食品のシャインマスカット。実はミニトマトを買いに行ったスーパーで、ミニトマトの値段とシャインマスカットの値段がそう変わらなかった(ミニトマトが高かった)ので持って行ったが、幸せだった。そしてカロリーが高く、昔から食べるのが好きな「イカの姿フライ」。大袋のママ持って行くとは思わなかったが、小袋に移す時間が無く、とりあえず車に積んで家を出たのだが、ザックのサイドポケットに突っ込んで持って行って、おいしく食べた。一方でドライフルーツ系の干しぶどう、とくにバナナチップはあまり食べなかった。

ほかに使わなかった持ち物は・・・

  • 夏に使った白い綿の手袋・・・黒の100均の手袋を使用(化繊、右手の3本は指先が出ている)。濡れなかったのでスペアは使わなかった。
  • スペアの薄い手袋・・・1000円以上の手袋。ろくに使わないうちに片方無くしたので片方だけ。手は薄い100円手袋でかなり寒さは防げると知った(昨冬の犬の散歩で学んだ)。とにかく今回は使わなかった。
  • ネックウォーマー3つのうち1つ・・・ネックウォーマーと言いながら、100均の女性用ヘアバンドなのだが、首、おでこ、顎を温めるのに重宝する。さすがに3つは要らなかった(2つで良い)。
  • マスク・・・寝るとき鼻の先や口が寒いかと持って行ったが、使わなかった。
  • ヒートテック長袖・・・使わずにすんだ。下着は速乾性の半袖のみ。着替えるのが寒いので。

結露対策で必須(シュラフが濡れると最悪)と思って持っていった、テント内に敷くエマージェンシーシート2枚だったが、朝起きてみるとまったく結露していない。空気が乾燥しているからか、強風だとそうなるのか、結露しない理由は不明だが、とにかくシュラフが濡れなくて良かった。

下山して思うことは、本当に紅葉の中を歩くなら、別の場所も良いということ。涸沢はヒュッテとテン場の周辺かその下の狭い登山道でナナカマドやダケカンバを見る程度。2年前に登った立山は、室堂一帯が草紅葉(ナナカマドもあるがチングルマなど低木が中心)で、ターミナルから一ノ越、立山山頂、大走りと歩くあいだ中、山と紅葉を眺め続けることが出来る。涸沢にしか無いものもあるが、立山や他の山の紅葉も良い。

あと、涸沢に限らず、山小屋のトイレ事情は、山小屋、登山者、環境省、それぞれ考えなければならない。臭いのも辟易だが、小屋の負担も大きい。「自然」に負荷をかける訳にもいかない。出したモノは持ち帰るようにしなければならないのかも知れない。あるいは現場での「消化」技術の確立だろう。