夏休み終わる

夏休みが終わった。息子と二人暮らし(プラス犬一匹)の夏休みは、やはり大変だった。

まず7月1週間ほど残して夏休みが始まるので、自分が仕事に行っている間の昼食のことを考えなければならない。コーンフレーク、パン、ピザなどでしのいでもらう。栄養が心配で、給食のありがたさが分かる。

7月31日から8月1日にかけては立山登山。息子が、山頂付近の山小屋に泊まり日の出が見たいと言うので、室堂から立山を登った後、内蔵助山荘に泊まることにした。山小屋の予約は7月に入ってからしたが、山小屋の談話室での話では、予約解禁(春)直後に予約する人も多いようだ。我々の予約も、予定していた30−31(土日)の予約やその前後は埋まっており、日月の予約も埋まっていたのが運良くキャンセルされたようで空いたので予約できた。ケーブルカーも7:40の便を予約でき(こちらは直前でも結構空きがあった。立山駅がごった返す例年とは違う。)、犬も前日にブリーダー宅に預ける(高岡なので行くのに1時間ほどかかり、下山した日に自宅前を通過し引き取りに行かなければいけないのがネック)。

1日目は10時頃に室堂に着き、一ノ越を目指すが、浄土山への分岐で息子にこっちの道もあると聞いたら「行く」と言うので、それでも3時に山小屋に着けるだろうと判断したのがその後困難を引き起こした。浄土山への登りは急斜面もアリ、徐々に空も曇っていき期待した眺めは得られず(それでもたまに南の山並みが見えたり、雄山山頂が見えたりした)、浄土山から一ノ越へは下りで、その後また立山への登りがあるという子供にはツラいルートだった。浄土山山頂で「サンダーバード」で買ったカツサンドを食べ、一ノ越はトイレ休憩のみで雄山に登り始める。富山市の学校登山があったりで、それを眺めながらのんびり登ったが、1時すぎの山頂でガスに巻かれ、雨の気配もする。

降り出してからレインコートを出すのも手間なので、社務所前でレインコートを着込む。今回はスパッツも買ったが、それほどは降らないと判断して使わなかった(結果的には良かったが、念のため付けてもよかっただろう)。今回は息子の靴も防水があるノースフェースのジュニア用登山靴なので靴下の濡れは安心できる。このジュニア用登山靴は8000円程度で良かったのだが、紐の金具付近の作りには不安を感じた。それでも靴擦れもできず、岩で滑ることも無く、息子には良かったようだ。雄山に登ればあとは稜線歩き、と思っていたのだが、なかなか岩稜地帯で、アップダウンも頻繁にあり、息子もゆっくり進む。3時すぎに山小屋に電話を掛ける。子供連れなのでゆっくり行くが、心配しないでほしいという連絡。三座のピークはガスの中なのでパスし、折立避難小屋から真砂岳山頂は雨に降られて周囲も見えず、息子は不安になり涙ぐむ。

今年の登山もツラいものになってしまった、浄土山に行かなければ良かった、と後悔したが、あせらず安全に一歩ずつ進むのみと、息子を抱きしめ励ます。真砂だけ山頂から下り、内蔵助山荘が見えたときは安心した。5時を過ぎてしまった。

濡れた道具は乾燥室に並べ、寝床を整え、夕食は僕ら二人だけ(他の人はもう済んでいた)で食べ、隙間時間に息子は眠り、僕も足が圧迫や筋肉疲労で痛むので談話室で足をもみながら、他の登山客と話をする。9時頃就寝。

夜中に起きて、息子と星空を見る。流れ星は僕には見つけられなかった。僕より視力が良い息子は、僕よりもっとすばらしい星空を見ていたことだろう。他の人たちが良いカメラで星空を写しているので、息子も今度は良いカメラを持ってこようと息巻いている(重くなるんだけど・・・)。

翌朝は日の出を見る。暗いうちから防寒して外に出て、空が黒から青、山際が赤くなる様子を大勢の人と眺める。息子は夏休みの宿題の絵手紙を描くために、水絵の具セットで日の出の様子を描く(下山してから描いた文字は、「がんばったから見られるけしき」)。

朝食を食べ、6時頃に出立。

30分ほど歩いて、宿泊の領収証をもらうのを忘れたことに気づく。今回は富山市民向けの親子トレッキング助成を申請していたので、領収証が必要なのだ。このトレッキング助成、予定日を書いて申請せよとか、領収証とか、およそ登山に向いていない雑用を押しつけてくるのだが、役所仕事なので仕方ない(下山後、担当部署で山小屋に泊まった証明は写真で代用できないか聞いたがダメ。さすがお役所)。山小屋に電話を掛けたが、領収証は今度下山する8月下旬になるとのことで、手間を掛けさせて申し訳なかった。ともかく、登山風景の写真と領収証も提出できれば、助成金は認められるだろう。

山小屋前からは槍から富士山まで見渡せ、その後、真砂(トラバース)、別山(トラバース)、剱御前小屋まで、良い天気のなか(そのせいで日焼けした)、よい景色が見られた。部御前小屋に下る前の小ピークでは、室堂と浄土山立山、真砂、別山、剱、と360度のパノラマで、息子も「いーじゃん、いーじゃん、ここー」と心の叫びが漏れ出る。

ライチョウも、別山のトラバース路、剱御前小屋までの尾根ルートで遭遇。息子は初めて。

剱御前からの下りは、急な雷鳥坂を避け、大日方面に下り雷鳥沢に行く。何度も雷鳥坂の様子を見るが、やはり急そう。大日方面もそこそこ急で、ここを登る気にもあまりならない。これまで2回テントを張った雷鳥沢を通過し、雷鳥沢温泉で昼食と温泉。途中大学生が、「温泉に入ったらその先歩けなくなりそう」とつぶやいていて、確かにそうかもと思ったが、心機一転して残りの室堂までの舗装道を歩ききることができた。

1400のバスに乗るためには、予定していたホテル立山のシフォンケーキを10分ほどで食べなければならなかったが、バスでは案の定寝て、立山駅で雷鳥ぬいぐるみを買い、車に到着。ここから高岡まで犬を迎えに行かなければならないのがキツいが、無事下山でき、落とし物はポールの先ゴム程度(ちいかわタオルもなくし掛けたが、息子の背中から見つかった)程度、領収証を忘れたのが心理的ダメージ。

今回追加した登山道具

・プラティパス・・・水を飲むのに便利だった。二人で1.5リットルを二日持たせた。他にペットボトルも山小屋で追加している。

・スパッツ・・・足首からの水の浸入を防ぐため買った。今回は使わず。

・ヘッドライト・・・これまで1つだったが、息子用にLEDタイプ。

・室堂で充電用ケーブル・・・予備バッテリーは持っていったが、それと携帯とを繋ぐケーブルを忘れた。買って良かった。

・息子用のクツ・・・ノースフェイスでも意外と安い。

8月第一週を超えると、仕事で休みが取れるので、長崎に帰る(5日から19日)。今年の移動は、犬がいるので、車で富山から名古屋セントレアへ、セントレアから長崎空港へ、というもの。羽田経由が一番楽だが、犬を2回飛行機に乗せることの犬への負担(初めての飛行機なので)を考えると、人間も心理的負担が大きい(息子がどれほど心理的負担を感じるかは不明だが)。車でずっと長崎まで帰ることも考えたが、一泊しないと疲れと睡魔の相乗効果でボロボロになるし、犬を連れた外泊の練習として山梨の実家に行った際、夜に鳴いて寝られなかったことを考えると、無謀と判断。よって名古屋からの飛行機になった。

名古屋までの4時間の自動車旅も、犬にとっては心配だ。山梨に行ったときは家で使っているケージをそのまま車の中に構築して、広々と過ごしてもらったが、今回はクレートで勘弁してもらう。トイレの心配もある。よって、頻繁に休憩を入れた(行きは岐阜に入ったあたり、昼食時、木曽川手前、常滑の4回か)。思ったよりクレート内で静かにしている(寝ている)し、SAなどで連れ出せば毎回トイレする。

セントレアまで車で行き、その後2週間を長崎で過ごすなら、くるまを預けなければならない。これは油断して7月末に予約をしようとしたら、空港駐車場は予約で埋まっており(2週間まるまる空いているのはさすがに難しい)、半島側の駐車場もネットで見る限り埋まっているようす。問い合わせフォームを4社ほどに送り、2社はお断りされ、OK2社のうち早く返事が来たニワパーキングを利用。2週間で7000円か。

長崎では、ダラダラしたり、仕事をしたり、高校受験の娘たちと洗面所の棚を探したりレストランで食事したり、薪小屋の屋根を台風対策として固定したり。しかし薪にハチが穴を開けて繁殖しているのと、基礎石に固定できていない自転車小屋を放置してきてしまった。ケージは長崎用に新しいものを購入して届けてあったので、犬はそこで過ごす。そして畳の部屋で僕と一緒に寝ることに。一緒に寝ると泣くことも無く、頻繁に散歩に連れ出されるため夜中にケージ内でジョーコロンすることも無く(それでも自分のケージから遠く離れたところ=2回の娘たちの部屋の奥ですることはあったし、畳の上でもした)、そのクセは富山に来てからも続いている(というかケージでトイレするクセを無くしてしまったようだ)。娘たちは初めて犬に会うので、匂いも気になるようだがかわいがってくれた。

登山が終わってからの一週間と、長崎から帰ってからの一週間は、息子がゲームの約束を守らなかったり、宿題をしなかったりしたため、僕の態度が硬化してしまった。長崎では1日に10時間近く使うこともあったようで(僕のスマホの設定をいじられていた)富山に帰ってからはゲーム禁止にしている(9月17日まで)。富山に帰ってから始業式まで9日ほどの休みだったが、宿題も手に着かず、自由研究もせず、始業式前日の夜に宿題をしている始末。自由研究は始業式の夜に工作をして済ましていた。自由研究は、例えば室堂の天気を公開されてるタイムラプス動画の蓄積から調べてみたらとか、ミヤマクワガタのけんかでの大顎の使われ方とか、提案したのだがやろうとしないので、完全にほかっておいた。子供に研究させるのは難しい。せめて展示されていた他の子の研究で面白いのはあったかと聞く程度のことをした。

始業式が始まり、これまでした2つの約束(犬を飼い始めたときの約束と、ゲームを買ったときの時間の約束)をうやむやにしてはいけないと思い、朝と夕方に散歩させることを話し合って決定する。約束を守れないことは、これからの人生であまりに損失が大きいので、ここらでしっかり守れるようになってほしい。そして褒めたい。

今年の夏休みは息子にとって、総じてあまり良いものでは無かったと思う。それはゲームに支配されていたからだと言える。まだゲームの誘惑に勝てないのだろう。それでもそういう失敗の夏休みがあって、今後の長期休暇をどう過ごすべきか考える機会になったなら、プラスの夏休みと言える。登山で「いーじゃん」と言ってくれたのは親としてうれしい。