天草旅行



天草で「白鳥の湖・全幕」のバレエ公演があるのを新聞で知り、「抽選でペアご招待」とある。夏に第二幕の一部分をみて、いつか全部見たいものだと思っていたので、ダメ元で申し込んでおいた。当たっていたら、子供の分も買わなくてはいけないので、チケットがなくならないうちに抽選結果が知りたくて、もう待てないというころにバレエ事務局に電話をかけて、なんと当選したことを教えてもらい、さらに子供分も並びで購入させてもらう申し込みをし、無事5人で見られることになった(指定席ということも知らなかったので、電話して本当に良かった)。しかし下の子(男子5歳)はバレエを2時間も見続けられるかどうか不安でしかない。「見たくないなら妻の実家に預ける」「他の人も見に来ているのでうるさくしたらダメ」「もしお利口にできたらプラモデル買ってあげる」という教育的に悪い指導により、とりあえずは本人も納得して椅子に座って静かにしていることを覚悟したようだ。

同じ日の新聞に、長崎の茂木から天草の富岡に渡る船を利用すれば、富岡から電気自動車を無料で2日まで借りられるということで、それも利用しようと申し込みをした。ところが、バレエの終了時刻と、帰りの船の時間がどうしても合わず(バレエが終わるのは昼の3時過ぎだが、船は4時前に最終が出る)、泣く泣く車はキャンセル。代わりに島原半島南端の口之津から車もフェリーに乗せて天草に渡ることにした。茂木からの船は人だけの往復でも料金が高くて、実はカーフェリーを利用した方が安いのだった。家から茂木までが近いのと、電気自動車が乗れることと、茂木天草航路を応援したいのとで選んだのだが、残念。

というわけで、9時に家を出て10時半に口の津着、11時の船に乗り、30分で天草鬼池に上陸。昼ご飯は、あまくさドンドンフェアの案内で知った本渡の「あすた」という中華料理屋(本当は漢字)。豚丼とラーメンのセット2つと、餃子定食。大人二人と10歳×2、5歳×1だが、最近は大人三人前でちょうど良い量。(ただし、ピザとパスタの時は、ピザ2枚にパスタ大盛り、サラダ、デザートがきれいに無くなる。)滅多に食べられない太麺でおいしい。豚肉も柔らかくおいしい。お店の人も混んでるのにやさしい。気持ちよく店を出る。

バレエ以外の天草体験は、水族館かイルカか化石掘りかと迷ったが、比較的暖かそうで天草らしい、「牛深のグラスボート」に。子供以上の4人で乗れば、1割安くなるというのもダメ押し。海が荒れると中止になるので、電話で確認してから、一路、本渡から南端へ。天草は島だが結構大きい。子供たちは後ろですぐに寝た。今回はいつも家族で乗るタントではなく、12年ほど乗ってるデミオで旅行という初めてのパターン。マニュアルなので僕しか運転できないが、それでも室内が若干広いし、乗り心地もタントよりは良い。タントなら運転を代わってもらえるが乗り心地の悪い椅子ではノンビリもできないので、それくらいなら自分で運転する!ということで、妻は渋ったが(いざというとき運転が代われないので)マニュアル車で。これがどうも子供には乗り心地が良かったらしく、牛深に行くときも、翌日も、車に乗ればほぼ寝ていた。

さらにデミオにはナビが付いていないが、地図は印刷したり観光用のをもらったり、いざとなればスマホもあるので、心地よい心細さを感じながら、なんとか牛深へ。グラスボートは僕自身、乗ったことがあるのか無いのか記憶に無い。僕が乗りそうな場所は、和歌山白浜か、石垣島川平だが、石垣島に行っても川平には行ったこと無いので、白浜で乗ったかどうか。学生のころはグラスボートに何千円も払うのは贅沢に感じたものだった。

f:id:U_S_K:20171125151520j:image:right

上の子たちは酔い止めを飲んで、どうなることか心配しながら出向したが、海はべた凪で港から観察場所まで20分も問題は起きない。あいにくの曇で海中はやや暗い(多分)が、船が止まって船室に入っても「何も見えない?」と思っていたが、船をポイントに近づけると、色とりどりのサンゴや小さい魚、大きい魚がたくさん現れて、子供たちも喜び、同乗の熟年カップルも喜び、楽しい船内に。餌付けされているメジナの大群にも喜び、帰港。道の駅に寄って、今度は宿へ向かう。

f:id:U_S_K:20171125150354j:image:right宿は牛深から15分ほどにある、愛夢里(あむり)というところ。昼食の店と良い、難しい言葉に漢字を当てるのは、沖縄や北海道など、ちょっと日本の周辺部要素が入っているのかと、帰ってきてから思った。ここは立ち寄り湯がメインだが、宿泊もでき、予約をしたのは本館では無く、階段を200段ほど上るとサイトにも書いてある離れの一軒家。この時期、寒いのでは無いかと思い、もし空きが出たら本館で、とお願いしていたのだが、どうも離れになるようだ。子供たちが喜んでいるのでまぁ良いか。エアコンが3台あり、到着しても部屋を暖めていないのは、おそらく第三セクターの施設だからであろう。とりあえずフル稼働して部屋を暖め、温泉に入り、食堂での晩ご飯は、大人はあんこう鍋、子供はお子様セット。ヒオウギも付いていて、殻を持ち帰る。ビールは泡の盛り方が残念だったが(運ばれてくる直前に、子供に「生ビールと瓶ビールは味が違うの?」と聞かれ、「生ビールは泡が良いんだ」と言った後だけにより残念)、それは三セクだから・・・。

部屋に帰り、出かける直前に届いた「栄光なき天才たち」の中古本を回し読みしたり、ウノをやったり、トランプやったり、家のように過ごす。寒さで目を覚ますのはいやなので、20度くらいで暖房をかけて寝る。

朝は7時半に朝食で、めずらしく子供たちも朝風呂に入るというので、7時には風呂場に行く。朝風呂は熊本城脇の「城の湯」の朝風呂がやたらと印象に残っているのだが、家族が寝ている中一人で入りに行く朝風呂も良かった。朝食を食べ、1時開演のバレエ公演まで時間は余裕なのだが、まっすぐ本渡には向かわずに、海沿いの教会集落を見ていくことに。雨なので車を降りることもしなかったので、車からでは良い光景は見られず、京都の伊根集落もそうだが、なかなか車道から漁村集落の良さは感じられないようだと思いを新たにする。午前中なのに後部座席の子供たちは寝たので、コンビニでコーヒーを買い本渡に向かう。妻は手作り雑貨を見たいということだったが、アーケードにある雑貨市には欲しいものが無く、11時半には昼食を食べに店に向かう。魚介は前日夜にたらふく食べたので、やはりドンドンフェアに載っていたハワイアン料理の店に。本当は僕は一人でエビを堪能させてもらう予定だったのだが、エビはどこで食べてもおいしいという気もするので、時間の心配もあるし家族一緒に食べることに(なぜ一人かというと、子供たちのうち二人はエビが嫌いと言うから)。なぜかメニュー決めに時間がかかり(子供たちは車でお菓子を食べたりしてどこまでお腹がすいているのかわからず、またデザートのパンケーキがおいしそうで食後に食べたかったので、ご飯ものをどれくらいにするかで迷った)、さらに家族経営らしく調理に時間がかかって、開園に間に合うかソワソワする。料理は辛いものが多く、子供にはろくに食べさせられなかったが、パンケーキが5cmくらい厚いのが2枚重ねで良かった。12時半に店を出る。ナビがないので、市民センターにスムーズに着くか不安だったが、ちょうど良い時間に到着。くまモンとバレエ団の漫才のようなバレエ紹介が始まっており、バレエにそれほど惹かれていない下の子にも良かったのかも。

バレエ素人の僕にとって、白鳥の湖はやはり白鳥の群舞が面白く、王宮の一幕や三幕は僕でも退屈するのではと心配していたが、なぜかわからないが楽しめた。一幕には道化、三幕には外国風の踊りがあるのが良いのかもしれない。全幕のDVDがあるので音楽も馴染みがあり、ノレる。オディールはもう少し悪そうな感じが良い。小さな白鳥は楽しく、大きな白鳥は3羽だがこちらも好きだ。バレエにしろ、他のダンスにしろ、人間が機械のような型にはまった踊りをすることを美しいと思うなら、機械に踊らせれば良いように思うのだが、やはり人間がやることに意味があるのだろうか。人間がやることでやはり型からの逸脱があるのだが、それがまた魅力になるのだろうか。隣の5歳男子も静かにしてくれて、3時すぎに終了。4時15分のフェリーに乗るために北上する。

天気は曇りか雨だったが、寒さは緩く、食事もよく、人も温かで、バレエはチケット当たるし、車でフェリーにも乗れたし、宿は一風変わっていたし、グラスボートも子供に受けたしで、満足な天草旅行だった。

帰って家族が風呂に入っていると、宅急便でプラモデルが届いた。実は金曜日の晩に頼んでいたので、もしかして日中に届いているかとネットで配達状況をチェックしていたのだが、帰りのフェリーではまだ到着していないようだった。子供にはそのフェリーの中で注文したことになっていたのだが・・・。まぁ子供は喜び、「アマゾン」という言葉を覚えた。


HG UCHG 1/144 MS-06 ザク地上戦セット (機動戦士ガンダム MS IGLOO)

HG UCHG 1/144 MS-06 ザク地上戦セット (機動戦士ガンダム MS IGLOO)