雲仙旅行



f:id:U_S_K:20080723090246j:image:right 夏休みということで、また少ないながらもボーナスが入ったということで(ずいぶん前だが)、温泉旅行を計画した。当初は、嬉野あたりに二泊くらい、と考えていたところ、嫁さんの両親も一泊一緒にしたいとなり、さらに、嫁さんのお姉さん夫婦も一緒に一泊したいということになり、さぁどう予定を調整しようかと悩んで日にちが過ぎていったのだが、結局いつまでたっても決められなさそうなので、また別の日に合同温泉会はするとして、僕ら一家だけで行くことになった。そして、前日に予約を入れて、雲仙は福田屋雲仙温泉 民芸モダンの宿|雲仙福田屋に行くことが決まった。

f:id:U_S_K:20080730153515j:image:right民芸調と聞くと、古びているだけの場合もあるのでちょっと躊躇したが、テンピュールの布団と枕で寝てみたい、寝て疲れを取りたい、という衝動にかられて決まった(一人約15000円、子供用に布団一組追加約1000円)。結果は当たりだった。セットの貸し切り露天風呂は「丸太ん棒の湯」だったが、広く、景色良く、植栽は本物で紅葉も色づき、お湯の出てくる木の樋もわざとらしさがない。空間が調和しているように思えた。ほかの時間が空いてなく、4時から50分間という早い時間だったが、あの景色は昼間の明るい光の中で見た方が絶対良い。子供用に、着替え用マットとソープ&シャンプーを借りられるのも良い。風呂上がりのサービスでびん牛乳(フルーツやコーヒーも選べる)をもらえるのも良い。

f:id:U_S_K:20080730185150j:image:right

料理は、残念ながら部屋食では無いが、板の間の食事処で、子供もはい回れる。掘りごたつなところが、はい回る子供には危険だが、大人が足でガードしつつ、机の上の皿や飾りもひっくり返されないようにしつつ、つまりやっぱり家と同じく大変な思いをしながら食べた。その料理がまたおいしかった。9種が盛られた前菜はどれも少量だがおいしく、ミニトマトのワイン煮っぽいもの、西京漬けっぽい焼き魚などなど。トリプルチョイスで選んだ刺身はフグ刺しと馬刺し、メインはステーキとアワビだったが、おざなりでなくおいしかった。ラストの「好いちょる鍋」はややおなかいっぱいだったが、子供たちにも白菜やもやしを食べさせたり、最後の雑炊も少しやったりと、家族で堪能した。デザートはジャガイモアイスとわらびもちも甘すぎず良かった。小食の嫁さんと、普通の量しか食べられない僕というペアにとって、最後の雑炊はさすがに食べきれなかったものの、なかなか適当な量だった。旅館の料理はこれでもかと晩ご飯も朝ご飯も出してくるので、ますます福田屋好印象。なんと朝食はチェックアウト後のブランチに変更できたりもして、朝のんびりしたい僕らはブランチにした。なにより明るい仲居さんだった。このホテルの仲居さんたちはみな親切で親しみやすかった。

夜は無料貸し出しのDVDをせっかくなのでみることに。ロビーに並んだパッケージから選ぶのだが、僕としてはグエムルが見たかったのだが、嫁さんから「怖いのはいや」ということで却下。どうでもいいやと「愛の流刑地」を借りた。家族旅行に似つかわしくないチョイスで、これもまた印象に残り良かったんじゃないかと思う。

テンピュールの部屋は、四畳半の畳スペースと、ツインのベッドスペースがくっついた部屋。四畳半スペースは着いて早々に子供用に変えられ、危険なものは除かれ、おもちゃがぶちまけられた。窓からは緑の中にホテルがいくつか顔を覗かせている。窓は低い位置についており、転落防止の手すりは、子供なら簡単にすり抜けられる。涼しい外気を入れたいと、窓を開けることを試みたが、下を覗くと20mほど下に小川が流れている。目を離したすきに、、、と考えると、すぐに窓を閉めた。

夜はその四畳半に子供用の布団と嫁さんのテンピュールを並べ、僕だけベッドで寝た。テンピュールの効果はというと、正直なところよくわからない。僕も最近はそれほど肩こりがひどいわけではなく、体の芯から疲れが取れたというわけではなかった。嫁さんもやっぱ「完全な休息」とは行かないようだ。

f:id:U_S_K:20080731121801j:image:right翌日は雲仙山頂に近い仁田峠へ。800円近い有料道路料金はやっぱり高いと思う。仁田峠までくるとかなり涼しい。日陰の温度は25度だった。島原市街が見えたり、遠く熊本まで見える。霧も薄くかかり、日差しが遮られてちょうど良い。ベビーカーで駐車場からロープウェイ乗り場までゆっくりスロープを上り、だらだらのんびり過ごす。涼しくて良いんだけど、いつきてもここはすることがなくて困る。山登りもまだできないし。せめてベンチでも増やしたらどうだろうか。少なすぎる。売店も、しなびている。さすが国立公園第一号というべきか、古さが目立つ。

f:id:U_S_K:20080731130105j:image:right駐車場を出て、さてどうしようか、帰ろうかと考えたが、そうだ島原行こう、島原行っておやつ食べよう、という話になり、急遽ハンドルを切って、島原へ向かった。島原でおやつ食べるなら、先日の長崎ガイド長崎ガイドのコラムで紹介されていたところが良いと、嫁さんに携帯で場所を調べてもらう。どうも金物店の裏にあるらしいということで、その金物店はきっと武家屋敷の近くじゃないかと目星をつけ、とりあえず島原駅へ。待合室の地図で金物店を探し(駅からすぐ近くだった)、その隣の駐車場へ行く。駐車場では、なんとか日陰に止められないかとキョロキョロしていたところ、どこからともなく男の人が来て、このあたりの車は終日出ないから、車の前に止めても良いよと教えてくれる。目当ての甘味処「茶房 速魚川(はやめがわ)no title」の店長さんだろうか。

f:id:U_S_K:20080731141106j:image:rightこの甘味処、古くから残る民家を、過ごしやすくおしゃれな喫茶室にしてあり感動だった。薄暗い室内(クーラーが効いている)、明るい中庭には亀がいる。たまたまお客がおらず、はい回れる板張りの店内で、流れるボサノバを聴きながらのんびり過ごした。メニューにある宇治ミルク金時は、頼んでミルクを抜いてもらい、さっぱりおいしく食べることができた。家で作るかき氷や、そのへんの店のかき氷とは違う、昔京都で食べたような、「同じ氷でもこんなにうまいのか」と思わされるかき氷だった。寒ざらし(島原の伝統的な甘味)は、初めて食べるが、小さな直径1cmちょっとの白玉団子が、カラメル風味の水に浸してあるシンプルなもの。この薄い蜜の風味がまた良かった。

帰りは、長い車の旅がこたえたのか、サアもホーもよく泣いた。あやすために唐比(からこ)の直売所に寄り、お刺身のパックを買って帰るが、これまたうまかった。太刀魚、鯛、サザエなど5種入って600円とか、安くて新鮮で、嫁さんは「これだけのためにあそこまで行っても良い」(唐比は家からはちょっと遠い)とまで言っていた。

雲仙は硫黄泉で、子供の皮膚には強すぎるかと心配したが、それまであったあせもも治るし、帰って2,3日はとても肌の状態が良かった。旅行から一週間がたち、温泉に行ったことなど忘れてしまいそうだが、確かに楽しかった思い出は残っている。