不安をあおって商売する



世の中の広告は、人間が持っている将来にたいする不安を巧みに増幅して、その不安を解消するような(正確には解消できた気にするような)商品を売りつけようとするものがきわめて多い。宗教への勧誘や健康食品はいうまでもなく、ごく普通の生活用品の安売りなんかも、今買わないと後々損をするという不安感を煽っていると思う。このようにして不必要なものまで買ってしまうということが、頻繁に起こっているのではないだろうか。子供の一生を決めるように感じ、名付けの本を買わされてしまう今日この頃の自分を見て、不安をカモにする商売について根深いものを感じてしまった。

僕は基本的に「浪費は悪」という考えをもっている。本当に必要なもの以外を買うことは、自分であれ他人であれ、慎むべきだと考えている。もっと質素な暮らしで十分じゃないかと考える。そもそも本当に必要なものって何があるのかとも考える。

しかし一方で、一部の工芸品や日用品にあこがれ、買いたい自分がいるし、それどころか、そういうものを作って売って生業にしたいとすら考える自分もいたりして、どうしていいのか悩む。

さらに一方で、お金を使うことは、現代人にとって、社会的活動の重要な部分になっている。ストレス発散にもなるし、世間との交渉の場にもなっている。経済力を行使することは、その人の「力」を行使することであり、快感であるのだろう。