いまどきの意思決定プロセス



 いまどきの大学生と飲む機会があって、いまどきの大学生の考え方を聞くことができた。とても客観的に分析できる学生さんだったので、話し合うのはとても楽しかった。ただここで論じた学生は、きわめて限られた範囲の大学の学生であって、すべての大学生のことでは決して無いし、平均値でもない。

 とくに興味が持てたのは、いまどきの学生の意思決定というか、あるいは同調気質のようなものについてだ。今の時代は「アツすぎるとイタい」ということで、人に何か頼む際には、それが自分も一緒にやることだろうが、そうでなかろうが、また自分がとてもやる気があろうが無かろうが、とにかく「自分はあまりやりたくないけど、(上から言われたり、流れ的に)やらなくちゃいけないことみたいだから、仕方ないよね」という態度でないと、言われたほうはヒクそうだ。「熱血はカッコワルイ」ということだ。ここでのカッコよさとは、ルックスも大きく影響する。おりしも、とある本で「イカキョウ(ルックスには無頓着で、勉強あるいは趣味に没頭するイカにもキョウ大生のこと)」と言う言葉を見ただけに笑ってしまった。服装、髪型などは、今の学生を動かすには重要項目らしい。カリスマ性は重要だと言うことだ。

 で、その「自分はやりたくないけど、しかたないからやろう」という他者の巻き込み方は、「お上のお達しだからツベコベ言わずにやれ」という、責任の所在(命令)の外部化という、日本の歴史においてしばしば見られた、権力の多重化を思い起こさせた。関白は天皇の、執権は征夷大将軍の意向であるかのように、部下に命令を下す。直接働く人に接するのは、その仕事を作った人ではないのである(すくなくとも表向きは)。そうすることで、きっと日本人は動かしやすかったのだろう。

 自分の行動を決定するのは、どこかにある権力であり、対面している人でもなければ、ましてや自分でもない。こういう人が増えていくのって、社会として良いのだろうか。